医薬学書出版 洋學社

医療事務概論

ー病院で働く人のみちしるべー

 

著 者

小林 利彦 (浜松医科大学医学部附属病院 医療福祉支援セ

       ンター センター長)

発行年

2018年4月

分 類

医学一般

仕 様

B5判/総頁数/168/本文153/49図/10表

定 価

(本体 2,900円+税)

ISBN

978-4-908296-10-9

 

 

はじめに

 

 現在,日本人の就職者に占める医療介護関係職の割合は10%を超えています。その中には,医師や歯科医師,看護師などのように,患者さんの治療やケア等に直接あたる医療専門職だけでなく,その種の業務をサポートする医療事務職員が含まれています。しかし,本書の中でも述べていますが,一般の事務職員は専門資格等を有していないことから,医療機関という特殊な職場環境に戸惑うことも少なくなく,自身のキャリアデザインが描きにくいとされています。そこで,本書では,病院やクリニックなどで事務職員として初めて働くことになった人や,これから働くことを考えている人たちを対象に,医療機関の仕組みや,そこで行われている具体的業務をわかりやすく解説することを目指しました。「道標(みちしるべ)」という副題は,皆さんが不慣れな場所(職場)でも道に迷わずスムーズに歩んでいけるように,「標識」を示しつつ導いてあげたいという私の想いを表しています。

 医療機関には,500~1,000 床近い大規模病院から病床を全く持たない無床診療所(クリニック)まで存在し,組織形態や求められる機能などもさまざまです。また,同じ機能を担う医療機関でも,組織内の部門・部署等の名称が異なることは珍しくありません。本書では,なるべく一般的な呼び名で部門・部署等の名称を記しましたが,皆さんがこれから働こうとする医療機関において,それらの名称が異なっている際は柔軟に解釈してください。なお,本書では,500床規模の基幹病院を想定し,医療事務部門の組織体制や諸機能,ならびに具体的な業務等について解説しました。中小規模の病院やクリニックなどでは,一人の事務職員がいくつもの役職や業務を兼任することが珍しくありませんので,そのあたりもふまえた現実的解釈のもとご理解いただければ幸いです。

 本書の構成ですが,第1章に,医療事務に関連する全般的な組織体制(組織形態)について書きました。最初にここを読んでいただき,事務部門の全体像がつかめれば良いかと思います。医療機関に実際存在する部門・部署等の具体的業務は,第7章から第17章にまとめました。また,私の個人的な想いとして,第6章「教育と研修」と最終章(第20章)「病院事務職員として永く働くために」には熱いメッセージを添えました。いずれにせよ,全体を通して,医療機関(病院)で今後働くために必要な知識等は網羅したつもりです。さらに,各章の最後には,「コラム」として関連する話題をつけておきましたので,併せてご覧いただければ幸いです。

 さいごに,執筆者である私が「医師」だから言うわけではありませんが,医療機関は本当に素晴らしい職場だと思います。当初は慣れない環境のもと辛いことがあるかもしれませんが,永く働いて,日本の医療に是非とも貢献していただけることを願っています。

 

 

 

 

はじめに

 

第1章 医療機関における事務部門の組織形態

1 医療機関とは?

2 病院で働く「事務職員」の位置づけ

3 職種によるヒエラルキー

4 役職や職位で構成される「組織形態」

●コラム1 地域医療構想における「必要病床数」

 

第2章 病院の理念と基本方針,中長期計画

1 理念,ビジョン,戦略・戦術

2 「中長期計画」と「単年度計画」

●コラム2 「社会的共通資本」しての医療

 

第3章 病院の管理者・管理職と「意思決定」の仕組み

1 病院の「管理者」と「管理職」

2 「意思決定」の重要性

3 指揮命令系統の組織図

4 「組合」と「過半数代表者会議」について

●コラム3 リーダーシップ

 

第4章 会議と委員会

1 会議と委員会の種類

2 病院内の代表的な会議と委員会の説明

3 議事録について

●コラム4 「規程」と「規定」

 

第5章 事務職員に求められる資質と資格

1 資質と能力

2 医事課職員の業務

3 「病院職員」としての基本動作

●コラム5 人事異動

 

第6章 教育と研修

1 社会人としての教育・研修

2 病院内で実施される全職員向け研修

3 職員の能力評価と能力開発

●コラム6 モチベーションとインセンティブ

 

第7章 人事・労務管理・福利厚生

1 人事部門の役割

2 雇用形態と勤務形態

3 労働時間

4 「労働基準法」と雇用条件(労働条件)の関係

5 福利厚生

●コラム71 委託業務

●コラム72 賃金について

 

第8章 診療情報管理と個人情報保護

1 診療情報管理

2 文書管理

3 個人情報保護と医療情報システム

●コラム81 電子カルテの3原則

●コラム82 クリニカルパス

 

第9章 医事業務( 1 )外来対応

1 外来業務

2 総合受付( カウンター)

3 救急外来部門

●コラム9 未収金について

 

第10章 医事業務( 2 )レセプト関連業務

1 保険診療の仕組み

2 診療報酬明細書(レセプト)の実際

3 DPC/PDPS 制度

4 その他の医療関連制度

●コラム10 介護保険制度

 

第11章 医事業務( 3 )施設基準と個別指導等

1 施設基準

2 指導と監査

3 診療録記載の重要性

●コラム11 保険医療機関の指導・監査等の実施状況

 

第12章 医事業務( 4 )診療補助・医療秘書業務

1 事務職員による「診療補助」の意義

2 医師事務作業補助者

3 診療支援のためのロボット・AI 活用と看護師が行う特定行為

●コラム12 学会・研究会等への参加

 

第13章 地域連携室

1 地域連携室の役割と変遷

2 診療実績

3 広告と広報

●コラム13 医療施設間の情報共有と情報伝送

 

第14章 各種相談業務

1 患者相談窓口

2 疾病関連の専門相談

3 「ご意見箱」と患者満足度調査

4 クレーマー対応と職員暴力対策

5 虐待対応

●コラム14 就労支援

 

第15章 財務・経営管理

1 財務会計

2 管理会計

3 経営管理

●コラム15 減価償却について

 

第16章 施設・設備

1 病院建設

2 施設・設備等の整備

3 医療機器のメンテナンス

4 清掃と感染性廃棄物の処理

●コラム16 臨床工学技士

 

第17章 物品管理

1 物品購入

2 在庫物品

3 滅菌材料

4 費用の立替え

●コラム17 SUD 問題

 

第18章 病院安全と災害時対応

1 医療安全と保安管理

2 緊急時対応

3 消防訓練と災害訓練

●コラム18 災害拠点病院とD-MAT

 

第19章 医療事故対応

1 医療事故・医療過誤への対応

2 病院賠償責任保険

3 医療事故調査制度

●コラム19 死亡時画像診断(Autopsy imaging:Ai)

 

第20 章 病院事務職員として永く働くために

1 「病院」という特殊な職場環境

2 マネジメント(Management)

3 病院事務職員に役立つ学問とスキル

●コラム20 人生100 年時代の設計図を考える

 

文 献

索 引

最後に

 

 

 

 

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