外科系医師が知っておきたい 法律の知識



田邉 昇(中村・平井・田邉法律事務所)


 発行年 2016年4月

分 類 医療制度

仕 様 A5判/総頁数224/本文213

定 価 2,970円(本体 2,700円+税10%)

ISBN 978-4-908296-02-4 在庫あり


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外科系医師が常にリスクとして抱える医療事故を、医師・弁護士である著者が実際の医療訴訟事例をもとに考察。その本質をやさしくひもときます。最新の医療事故調査制度にも対応。 

本書は,永井書店「外科治療」誌に2006年3月号から2011年6月号まで,「外科医が知ってほしい法律の知識」として連載していた内容に加筆し,新たに医療事故調査制度に関しての論考や,その「源流」ともいうべき東京都立広尾病院事件判決についての解説などを記載したものである.


基本的には,エッセーであるから,気楽に読んでいただきたいと思うが,よくある論調とは視点が違うことに気付いていただけると嬉しい.


いままで,種々の原稿を書いてきたし,共著での執筆も多岐に亘って書いてきたが,単著としての書物はこれが3冊目である.医学書院の「病院」誌に連載していた原稿が,「Q&Aで学ぶ医療訴訟とリスクマネジメント」(医療文化社)となり,medical tribuneに連載していた「the判例」が,「弁護医師が斬る 判例180」(中外医学社)となって上梓された.実を言うと,いずれも自費出版ではないものの,半ば押しかけ出版で,前者は医療文化社から,内科専門医会に連載していたリスクマネジメントの原稿を,もっとボリュームを出して本にして出版しないかと申入れがあったときに,ボリュームを出すのは大変なので,今まで書いてきた「病院」誌の原稿をそのまま使えないかとオファーしたのがきっかけである.しかし,実際には本作りは,非常に大変な作業で,編集者の方をはじめ,大変丁寧なお仕事には感服させられた.


それで味を占めて,medical tribuneに連載していたmultiple choice本を本にしようと某社に相談していたが,その会社の他の書物出版の際に,編集会議も1度も開かず,とても残念な対応であったにもかかわらず,出版契約書だけは細かく,弁護士的に異議を出したら話が潰れてしまった.仕方なく,これも別の共著本で原稿を書いていた中外医学社さんにお願いしたところ,快く書籍化をOKしていただき,後者の本になった次第である.


ところが,今回の本は,もともと永井書店の「外科治

療」という雑誌に50回以上連載していた記事を,永井書店にいらっしゃった吉田さんが独立して立ち上げた洋學社という出版社から,出版のオファーがあったものである.古い原稿を加筆修正して,医療事故調の話などを入れて本にして出版していただくことにした.

今回はQ&Aやmultiple choice本ではなく,随筆みたいな本なので,気楽に読んでいただきたいと思っている(私の他の本も眦を決して読む方はいないと思うが).


私の書くものはいずれも,歯に衣を着せぬところが特徴で,言い換えれば表現力に乏しいところがある.このような文書は,ヒトのことは,面白く読めるのだが,自分や,自分の関係していることになると,腹が立つことが多いものである.もし,ご関係の団体や業界,はたまた読者先生ご自身や係累の方がターゲットになった場合は,言葉足らずを率直にお詫びするので,名誉毀損の訴訟などはやめていただくよう申し上げておきたい.小職,裁判になるとめっぽう頑張ってしまうので,二度不愉快な目にあわれることのなきようお願いしたいものである.


昨年は,厚労省の医療事故調査制度の実施に係る検討部会の委員をしていた関係で,医療事故調査制度に関した講演を依頼されることが多く,100回近くの講演を行った.おまけに,今まで長引いていた比較的大きな(というより,裁判所の進行が遅い,あるいは,原告代理人があれこれ判らないことを片っ端から主張する,また,このためか裁判所が公定鑑定を採用し,この結果が出るのに時間がかかるといった)事態で,年末年始に6本の最終準備書面(数年間の主張の総整理を,証人尋問や今まで出した証拠から整理する書面である)を書くはめになり(総説6本と思っていただければいいかもしれない)本書の原稿完成が遅れたことは洋學社や読者の皆様にはお詫びする必要がある.

目  次

 

・言ってはいけないアイムソーリー

 

・説明義務の暴走

 

・説明義務違反は高くつく

 

・医師の過労死

 

・加古川市民病院事件発売予定日

 

・福島県立大野病院事件判決の意味

 

・無謀(recklessness)な医療は刑事罰の対象になるのか

 

・川崎協同病院事件最高裁判決

 

・安楽死・尊厳死

 

・ヒヤリ・ハット事故報告書の扱い

 

・医療事故調査制度の対象について

 

・医療事故調査制度を巡る3つの誤解