実践 排尿障害治療図解



編 著

菅谷 公男(医療法人センダン 北上中央病院 泌尿器科 院長 株式会社サザンナイトラボラトリー 代表取締役社長 旭川医科大学教育研究推進センター 客員教授)

 

発行年 2019年4月

分 類 泌尿器科学

仕 様 B5判/総頁数216/本文203/133図/45表/11付録図

定 価 6,600円(本体 6,000円+税10%)

ISBN 978-4-908296-11-6 在庫あり

排尿障害を専門としない泌尿器科医や診察で排尿障害を治療しておられる内科医などを読者対象とした実臨床にすぐに役立つ解説書。見開き2ページで1項目が完結するように構成。知りたい情報を簡潔にご覧いただけます。 

泌尿器科外来では排尿障害(下部尿路機能障害)の訴えが圧倒的に多く,その診断・治療もしばしば難渋するものであるが,泌尿器科の教科書で扱われる下部尿路機能障害に関するページ数の割合はとても小さい.新旧の泌尿器科の教科書を比べると,私が学生の頃の昭和50年代と現在とでは,別物の感があるほど内容に違いがある.排尿障害の領域でも,過活動膀胱,間質性膀胱炎などの疾患名が加わり,多くの問診票や新たな薬剤が開発され,ロボット手術の導入,腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱の診断・治療なども新たに加わっている.しかし,ページ数の関係か,排尿障害に関する部分は相変わらず小さな割合である.排尿障害の専門書や入門書もいくつか出版されている.しかし,これらは排尿障害をある程度専門的に診て治療しようとする意志がないと,私のように読書の苦手なものにとっては,なかなか読み切れないと思われる.


現在では,排尿障害治療薬の処方は泌尿器科医よりも内科医の方が多い現状である.泌尿器科医のなかでも排尿障害を専門に診ている泌尿器科医の割合は多くはなく,平成29年から始まった日本排尿機能学会の初回認定医は全国で183名しかいない.そこで,排尿障害を専門としていない泌尿器科医や,普段の外来で排尿障害の治療を行っている泌尿器科医以外の医師向けに,外来に置いて実診療にすぐに役立つ,手っ取り早い解

説書があれば便利ではと思って本書を計画した.そのため,本書は見開き2ページで1項目が完結するようにし,左に解説文,右に図表とした.また,現在使用されている排尿障害治療薬や関連する薬剤も見開き2ページで掲載したが,各薬剤の項目の執筆は各製薬会社の担当者の方々にお願いして執筆いただいた.社内事情等で執筆いただけない場合には資料等を頂いて私が執筆した.また,薬剤以外の項目は,沖縄県の泌尿器科医等で専門的知識技能をお持ちの先生方に得意分野を分担執筆していただいた.


出来上がってみると,持論の展開のところもあり,難しいところもあり,硬軟入り混じって結構面白く出来上がったと思っている.その結果,本書はいくつか出版されている診療ガイドラインには必ずしも沿っていないため,さらに勉強したい先生方には,各々の疾患の診療ガイドラインを十分参考にしていただきたい.


本書の制作にあたっては,沖縄県内の先生方や製薬会社の担当者の皆様に貴重な時間を割いていただいてご協力いただいたことに感謝したい.また,本書の出版計画に賛同いただき,実際の出版まで多大なるご協力をいただいた洋學社の吉田收一氏に感謝の意を表したい.


平成31年3月吉日

菅谷 公男

目  次

 

Ⅰ.基本的基礎的解説

 1.下部尿路症状の用語

 2.下部尿路症状の疫学

 3.蓄尿と排尿の脳神経機構

 4.蓄尿と排尿の脊髄神経機構

 5.蓄尿と排尿の末梢神経機構

 6.下部尿路症状の問診票

 7.下部尿路の画像検査

 8.下部尿路の機能検査

 

 

Ⅱ.総論的解説

 1.蓄尿障害の原因と症状

 2.排尿障害の原因と症状

 3.排尿後障害の原因と症状

 4.排尿時痛・膀胱痛・下腹部痛・会陰部痛

 5.夜間頻尿

 6.血尿・蛋白尿・乳糜尿

 7.下部尿路症状と医療経済

 8.下部尿路症状と生命予後

 

 

Ⅲ.疾患別解説

 1.膀胱炎

 2.尿道炎

 3.包茎・亀頭包皮炎

 4.夜尿症

 5.過活動膀胱

 6.低活動膀胱

 7.腹圧性尿失禁

 8.骨盤臓器脱(膀胱瘤,子宮脱,直腸瘤)

 9.前立腺肥大症

10.前立腺炎

11.前立腺癌

12.尿道狭窄症

13.尿道症候群・骨盤うっ血症候群

14.間質性膀胱炎

15.神経因性膀胱・神経性頻尿

16.排尿筋括約筋協調不全

17.薬剤性排尿障害

18.尿路結石による排尿障害

19.生活習慣病と下部尿路症状

20.ED(Erectile Disfunction)と排尿障害

21.下部尿路の外傷

 

 

Ⅳ.排尿管理・理学療法

 1.尿道カテーテルの抜去法

 2.排尿障害の在宅医療

 3.自己導尿・カテーテル管理・排尿用具

 4.膀胱訓練と骨盤底筋体操(訓練)

 

 

Ⅴ.手術療法

 1.膀胱瘻造設術・膀胱穿刺法

 2.前立腺肥大症の手術療法

 3.前立腺癌の手術療法

 4.女性腹圧性尿失禁と骨盤臓器脱の手術療法

 5.膀胱拡大術(腸管利用,膀胱筋層切開),ボツリヌストキシン膀胱壁内注入療法

 

 

Ⅵ.下部尿路症状治療薬

 1.α1遮断薬

 1)ハルナールⓇ(タムスロシン塩酸塩:Tamsulosin)

 2)フリバスⓇ(ナフトピジル:Naftopidil)

 3)ユリーフⓇ(シロドシン:Silodosin)

 4)エブランチルⓇ(ウラピジル:Urapidil)

 5)ミニプレスⓇ(プラゾシン塩酸塩:Prazosin)

 6)バソメットⓇ(テラゾシン塩酸塩水和物:Terazosin)

 2.BPH 治療薬

 1)ザルティアⓇ(タダラフィル:Tadalafil)

 2)エビプロスタットⓇ配合錠DB(Eviprostat)

 3)セルニルトンⓇ錠(Cernilton Tablet)

 4)パラプロストⓇ(L-グルタミン酸,L-アラニン,グリシン:L-Glutamic Acid, L-Alanine, Glycine)

 5)プロスタールⓇ(クロルマジノン酢酸エステル:Chlormadinone Acetate)

 6)アボルブⓇ(デュタステリド:Dutasteride)

 3.抗コリン薬

 1)ポラキスⓇ錠(オキシブチニン塩酸塩:Oxybutynin Hydrochloride

 2)ネオキシⓇテープ(オキシブチニン塩酸塩:Oxybutynin Hydrochloride)

 3)バップフォーⓇ(プロピベリン塩酸塩:Propiverine Hydrochloride)

 4)ベシケアⓇ(コハク酸ソリフェナシン:Solifenacin)

 5)ウリトスⓇ,ステーブラⓇ(イミダフェナシン:Imidafenacin)

 6)デトルシトールⓇ(酒石酸トルテロジン:Tolterodine)

 7)トビエースⓇ(フェソテロジン フマル酸塩: Fesoterodine)

 4.β3作動薬

 1)ベタニスⓇ(ミラベグロン:Mirabegron)

 2)ベオーバⓇ(ビベグロン:Vibegron)

 5.頻尿治療薬

 1)ブラダロンⓇ(フラボキサート塩酸塩:Flavoxate Hydrochloride)

 6.腹圧性尿失禁治療薬

 1)スピロペントⓇ(クレンブテロール塩酸塩:Clenbuterol)

 2)トフラニールⓇ(イミプラミン塩酸塩:Imipramine)

 7.コリンエステラーゼ阻害薬

 1)ウブレチドⓇ(ジスチグミン臭化物:Distigmine)

 8.コリン作動薬

 1)ベサコリンⓇ(ベタネコール塩化物:Bethanechol)

 9.抗利尿ホルモン

 1)デスモプレシン・スプレー(DESMOPRESSIN・Spray)

 2)ミニリンメルトⓇOD錠(デスモプレシン酢酸塩水和物口腔内崩壊錠)

10.漢 方 薬

 1)猪苓湯(チョレイトウ)

 2)猪苓湯合四物湯(チョレイトウゴウシモツトウ)

 3)五淋散(ゴリンサン)

 4)八味地黄丸(ハチミジオウガン)

 5)牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)

 6)清心蓮子飲(セイシンレンシイン)

 7)桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

 8)補中益気湯(ホチュウエッキトウ)

 

 

Ⅶ.実践治療例図説

 1.過活動膀胱の実践治療例

 2.前立腺肥大症の実践治療例

 3.慢性前立腺炎の実践治療例

 4.混合性尿失禁の実践治療例

 5.頻尿症の実践治療例

 6.夜間頻尿の実践治療例

 

 

Ⅷ.付 録 図

 

 

索  引