村田流 リウマチ性疾患の読影法

ー手、頚椎、腰椎、骨盤、足のXPからー



村田 紀和(大阪行岡医療大学 医療学部 特任教授)

 

発行年 2017年12月

分 類 リウマチ

仕 様 B5判/総頁数364/本文345/4図/のべ1,074写真

定 価 5,500円(本体 5,000円+税10%)

ISBN 978-4-908296-09-3 在庫あり


※本書は電子書籍としてご購入いただくことができます。

 機関向け電子書籍は丸善雄松堂「Maruzen ebook Library」、個人向け電子書籍は丸善雄松堂「knowledge worker」、メテオ「メテオ・メディカルブックセンター」をご覧ください。

のべ1,000枚を超える豊富なXP画像からリウマチ性疾患の特徴とその画像読影を学べるよう構成された著者渾身の一冊。

診断の第一歩となるX線像読影技法の習得にぜひ本書をご活用ください。 

はじめに

リウマチ性疾患の診察では,問診,視診,触診,血液検査とともにX線撮影は重要な一角を占める.運動器の異常を訴える患者を診察する際には,整形外科医はもとより内科,リウマチ医は身体所見や臨床検査の異常だけでなく,X線像(XP)を参照することが診断の第一歩となり重要である.勿論,XPだけで正確な診断名を確定することはできないが,様々なリウマチ性疾患およびリウマチ症状を呈する周辺疾患のXPの特徴を知ることから,的を絞ってその後の臨床検査,身体所見の聴取を進めることができ,確定診断につながると考える.


勿論日常診療の場では,画像診断としてXPだけでは捉えにくい病態をCT,MRIさらにはシンチグラフィーで

把握することもよくあることである.しかしXPの読影力を強化することで,余分な負担が軽減できる場合もかなりあると考えられる.本誌が皆様の日常診療の一助になれば幸甚である.


ここで提示したXPは,七川歓次先生が1989~2015年に大阪で主催されていた中之島リウマチセミナーの際に設けられた企画「X線クイズ」に出題されたものが中心であるが,その他筆者の症例も一部含まれている.この場を借りて貴重な症例XPを「X線クイズ」に提出して戴いた諸先生方(特に吉川秀樹先生,西林保朗先生,後藤仁志先生)に深謝申し上げる.


著  者

目  次

 

はじめに

本誌の使い方

単純X線写真の読影法

 

第I部

 

1.手の変化

■骨融解性変化

1)末節骨

2)関節近傍

3)骨幹部

4)手関節

■骨増殖性変化

1)末節骨

2)関節近傍

3)骨幹部

■骨萎縮性変化

■骨硬化

1)指節骨

2)手根骨

■関節裂隙変化(関節軟骨変化)

1)PIP関節

2)MP関節

3)CM関節

4)手関節

■軟部組織変化

1)軟部腫脹

2)石灰沈着

■その他手に特異的変化がみられる疾患

1)手に限局したもの

2)他の部位にも変化が及ぶもの

 

2.頚椎の変化

■開口正面像で読むべき所見

1)環軸関節の狭小化

2)歯突起の偏位

3)歯突起の骨吸収

■前後屈位側面像で読むべき所見

1)ADI

2)垂直脱臼

3)下位頚椎の変化

1動揺性

2椎体の骨吸収および圧潰

3骨増殖性変化

4椎体間骨架橋(靱帯骨化)

5後方関節の強直

6棘間靱帯の骨化

7棘突起の骨融解

8椎体の硬化像(骨(髄)炎様像)

■その他頚椎に特異的変化がみられる疾患

1)頚椎に限局したもの

2)他の部位にも変化が及ぶもの

 

3.腰椎の変化

■動揺性

■骨増殖性変化

1)変形性腰椎症様変化

2)syndesmophyte

3)parasyndesmophyte

4)ASH,DISH

5)SAPHO

6)靱帯骨化症

7)棘間靱帯ないし棘上靱帯の骨化

8)先端巨大症

■骨融解性変化

1)付着部炎

2)骨腫瘍

■骨硬化変化

1)Paget病

2)骨腫瘍

3)感染

4)SAPHO

■椎間板の変化

●斜位像

■その他腰椎に特異的変化がみられる疾患

1)腰椎に限局したもの

2)他の部位にも変化が及ぶもの

 

4.骨盤の変化

■骨盤の骨実質の変化

1)骨硬化変化が優位な例

2)骨融解性変化が優位な例

3)骨萎縮性変化が強い例

■仙腸関節および恥骨結合のチェック

1)仙腸関節炎

2)腸骨硬化

3)恥骨結合

■付着部炎のチェック

■股関節のチェック

1)RA

2)JIA

3)OA

4)RDC(rapidly destructive coxarthrosis)急速破壊型股関節症

5)AS

6)単純性股関節炎

7)大腿骨頭壊死

8)再発性多発性軟骨炎

9)PsA

■その他股関節周辺に特異的変化がみられた疾患

1)股関節周辺に限局したもの

2)他の部位にも変化が及ぶもの

 

5.足の変化

●足関節

●前足部

■骨融解性変化

1)末節骨およびDIP関節,PIP関節

2)MTP関節

■骨増殖性変化

1)末節骨

2)関節近傍

3)骨幹部

■骨萎縮性変化

■関節裂隙変化

■軟部組織変化

1)軟部腫脹

2)石灰沈着

■足に特異的変化がみられた疾患

1)足に限局したもの

2)他の部位にも変化が及ぶもの

 

 

第II部 各論

1.関節リウマチ(RA:rheumatoid arthritis)

1.ムチランス型関節変形

2.非定型例

A.脊椎関節炎様変化

B.非対称性

C.その他の稀な変化

3.OA併発例

4.疲労骨折

 

2.若年性特発性関節炎(JIA:juvenile idiopathic arthritis)

1.手の変化

2.頚椎変化

3.骨盤および股関節

4.その他

 

3.その他の膠原病

1.Sjogren症候群(SS)

2.皮膚筋炎(DM)

3.強皮症(SSc)

4.CREST症候群

 

4.脊椎関節炎(SpA:spondyloarthritis)および類縁疾患

A.強直性脊椎炎(AS:ankylosing spondylitis)

1.脊椎病変

【頚 椎】

【胸 椎】

【腰 椎】

2.仙腸関節炎,恥骨結合炎

3.股関節病変

4.付着部炎

 

P.乾癬性関節炎(PsA:psoriatic arthritis)

1.手の病変

2.脊椎病変

3.骨盤および股関節

4.足

 

S.SAPHO症候群

1.前胸部

2.脊椎

3.骨盤および股関節

4.その他

 

O.その他

1.炎症性腸炎

2.多発性付着部炎

《Polyenthesitis》多発性付着部炎

3.Condensans ilii

4.ASH

 

5.骨関節炎(OA:osteoarthritis)

(変形性関節症)

1.手

2.股関節

3.膝関節

 

6.結晶沈着性疾患,石灰化をきたす疾患

1.尿酸結晶沈着症(痛風)

2.ピロリン酸カルシウム(CPPD)結晶沈着症(軟骨石灰化症)

3.ハイドロキシアパタイト(HA)結晶沈着症

4.その他

A.関節周囲石灰化症

B.腫瘍状石灰沈着症

C.石灰沈着性腱炎

 

7.骨化異常,骨増殖をきたす疾患

1.透析性脊椎炎

2.骨斑紋症(osteopoikilosis)

3.骨化性筋炎,異所性骨化

4.靱帯骨化症

 

8.骨壊死,骨端症,骨梗塞をきたす疾患

1.無腐性骨壊死

A.特発性大腿骨頭壊死

B.多発性無腐性骨壊死

C.Freiberg病

D.Kienbeck病

2.急速破壊型股関節症(RDC)

3.骨梗塞

4.離断性骨軟骨炎

 

9.骨系統疾患,先天異常症候群

1.carpal tarsal osteolysis

2.Hadju-Cheney症候群

(特発性先端骨融解症)

3.infantil cortical hyperostosis

4.Morquio病

5.Klippel-Feil症候群

6.Werner症候群

7.SED tarda

8.骨形成不全症

9.Marfan症候群

10.血友病

11.流蝋骨症(melorheostosis)

 

10.代謝性疾患

1.Kashin-Beck病

2.Paget病

3.オクロノーシス

4.ヘモクロマトーシス

5.クル病,骨軟化症

A.クル病

B.尿細管アシドーシス

C.成人Fanconi症候群

D.腫瘍性骨軟化症(病的骨折)

E.低リン血症性骨軟化症

 

11.内分泌性疾患

1.先端巨大症(Acromegaly)

2.甲状腺機能亢進症

3.副甲状腺機能亢進症

4.性腺機能低下症

 

12.腫瘍性疾患

B.良性腫瘍

1.類骨骨腫

2.骨軟骨腫症(外骨腫)

3.多発性内軟骨腫(Ollier病)

4.Maffucci症候群

5.軟骨芽細胞腫

6.滑膜骨軟骨腫症

7.皮膚骨腫(osteoma cutis)

8.線維性骨異形成

9.骨巨細胞腫

10.Gorham病(大量骨融解症)

11.リンパ管腫

12.好酸性肉芽腫(eosinophilic granuloma)

13.血管腫(hemangioma)

14.神経線維腫症(neurofibromatosis)

15.黄色肉芽腫症(xantogranulomatosis)

《Xantogranulomatosis》

黄色肉芽腫症

M.悪性腫瘍

1.骨肉腫

2.軟骨肉腫

3.滑膜肉腫

4.骨髄異形成症候群

5.リンパ腫

A.非ホジキンリンパ腫

B.Diffuse large B-cellリンパ腫

6.多発性骨髄腫

T.転移性骨腫瘍

1.グラビッツ腫瘍

2.前立腺癌

3.卵巣癌

4.乳癌

5.食道癌

O.腫瘍類似疾患

1.多中心性細網組織球症(MRH)

2.Fibroblastic rheumatism(FR)

3.サルコイドーシス

4.色素性絨毛結節性滑膜炎(PVS)

 

13.感染症

1.一般細菌

A.右大腿骨髄炎

B.左??腓骨慢性骨髄炎

C.左化膿性仙腸関節炎

D.左手関節化膿性関節炎(緑膿菌感染症)

2.結核菌

3.真菌

A.クリプトコッカス骨髄炎

B.アスペルギルス脊椎炎

4.ウィルス

A.C型肝炎ウィルス関連骨関節症(骨硬化症)

《C型肝炎ウィルス関連骨関節症》

 

14.外傷など

1.疲労骨折,陳旧性骨折

2.血 腫

 

15.その他

1.Chrcot関節

2.恥骨融解

3.RSD(CRPS〈complex regional pain syndrome〉typeI )

4.リンパ浮腫

5.小空洞症

6.hypermobility症候群

7.透析性脊椎炎

8.肺性肥厚性骨関節症

9.再発性多発性軟骨炎

 

参考文献

索  引

おわりに