医師事務作業補助者のための 32時間教本 改訂第4

~くりかえし読んでほしい解説書~



小林 利彦(医療法人社団白梅会 理事、前:浜松医科大学医学部附属病院 医療福祉支援センター セン  

      ター長)

 

発行年 20228

分 類 医学一般

仕 様 B5判/総頁数238/本文218/34図/54/2色刷

定 価 3,300円(本体 3,000円+税10%)

ISBN 978-4-908296-21-5


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※本書は診療報酬改定にあわせ、2年毎に改訂をいたしております。

待望の改訂第4 版出来。

2022 年春の診療報酬・介護報酬改定にあわせ加筆・補正。必要十分な知識を収載した医師事務作業補助者必読の一書。

暗記する過程を極力省き、くりかえし「読み流す」ことで病院業務を視覚的にイメージできるようになることをコンセプトとする。これから医師事務作業補助者として就業を志す方に、あるいはすでに現場でご活躍の方々にも、ぜひご活用いただきたい。


※本書は医師事務作業補助体制加算の施設要件である「32 時間研修」を自施設(病院内等)で実施することを目的に作成された実践教本です。

<序文より抜粋>


2016 年11 月に初版として発行した自著「医師事務作業補助者のための32 時間教本~くりかえし読んでほしい解説書~」も,今回で第4 版への改訂となります。当初

は2 年ごとの診療報酬改定に合わせて執筆するつもりなど毛頭なかったのですが,読者からの第3 版までの評価が予想外に高く,全国の専門学校等でのテキストにも採用いただけるところまでになりました。あらためて,関係者の皆さまには感謝申し上げます。


さて,診療報酬制度の中で「医師事務作業補助体制加算」が新設されたのは2008 年のことです。年月の経つのは早いもので,医師事務作業補助者として当時採用された職員が今も働いていれば,14 年生の実務経験者になっていることとなります。2022年度の診療報酬改定では,医師の働き方改革に向けた支援を有効に機能させるために,加算点数のさらなるアップとともに「実務経験が3 年以上」ある医師事務作業補助者を高く評価するという内容になっています。ただし,私が多くの病院関係者から聞いているところでは,医師事務作業補助者の長期定着率はそれほど高くなく,3 年生以上の実務者を過半数確保することは案外困難だとされています。確かに,当初から非正規・非常勤採用が多いことや給与体系の不備などが言われてきましたが,本質的な問題はそれだけではないと私は思っています。何よりも,医師事務作業補助者という職種・職能

が周りの医療関係者から十分認められているのか否か,自問自答することが必要な気がします。医師事務作業補助者の資格化がいつも待望視されますが,まずは自律的な職能団体であることと,個々人が周りの医療関係者から認められる十分な知識とスキルを有していることが大切です。


今回の改訂版においても,当初からの32 章からなる本文構成は変更していません。今後,医師事務作業補助体制加算の施設基準である「入職後の32 時間研修」がどうなるのかは不明ですが,32 時間の形式的な講習( 研修)を受けるだけで周りの医療関係者から認められるということはありえません。やはり,つねに新しい知識の習得に貪欲であることと,日々の業務に真摯に取り組み経験を積み重ねていくことでのみ,周りの見る目は変わってくるのだと思います。6 年前に本書を執筆したときからの私の熱い思いは,新人の医師事務作業補助者に対してだけでなく,後継者を教える立場にあるベテランの実務者にも,そして部門の責任者として新たな責務を担うこととなった職員においても,本書が医師事務作業補助者としての原点に戻れるテキストでありたいということです。


今回の第4 版が,医師事務作業補助者としてこれから働こうとする皆さまや,この領域で今後も頑張っていこうとする実務者にとって,バイブル的なテキストとしてご利用いただけることを切に願っています。

目  次

 

01 時限目 医療機関で働く人たち

1 医療機関( 病院)とはどんなところか?

2 病院で働く職員

3 病院事務職員の課題

◇コラム1 「師」と「士」

 

02 時限目 医師の業務

1 医師という職種

2 医療の代行

3 「チーム医療」における医師の役割

4 医師の「働き方」と「ワークライフバランス」

◇コラム2 「コメディカル」と「コ・メディカル」

 

03 時限目 医師事務作業補助者の役割

1 「医師事務作業補助者」という職種の由来

2 「医師事務作業補助者」という名称の登場

3 医師事務作業補助職の課題

◇コラム3 医師事務作業補助者に期待される院内業務

 

04 時限目 医療関連法規

1 医療関連法規とは

( 1 )医師法

( 2 )医療法

(3 )保健師助産師看護師法

(4 )薬剤師法と医薬品医療機器等法

2 その他の「医療関連法規」

◇コラム4 地域包括ケアシステム

 

05 時限目 個人情報保護

1 プライバシーとは

2 「個人情報保護」に関する各種法規の位置づけ

3 情報漏洩防止に向けた対策

◇コラム5 個人情報の想定損害賠償額について

 

06 時限目 医療保険[ 1 ]

1 医療制度と社会保障

2 医療費について

3 医療保険制度

◇コラム6 診療報酬が適正に支払われるための条件

 

07 時限目 医療保険[2 ]

1 「感冒」で突然大学病院を受診すると

2 「高額療養費制度」および「限度額適用認定証」

3 指導と監査

◇コラム7 「混合診療」の禁止

 

08 時限目 介護保険

1 「介護保険」の基礎知識

2 介護領域におけるアセスメントと専門用語

3 「主治医意見書」を書く上で必要な知識

◇コラム8 「認知症」と「がん( 末期)」

 

09 時限目 外来と入院

1 外来の流れ

2 入院の流れ

◇コラム9 ホテルとは異なる料金体系

 

10 時限目 診療録に関する基本的事項

1 診療録とは?

2 診療録や問診票に記載される事項

3 POMR とSOAP

◇コラム10 略語について

 

11 時限目 DPC

1 コーディング

2 DPC とDPC/PDPS

3 「出来高請求」と「包括請求」

◇コラム11 DPC データの二次活用

 

12 時限目 電子カルテ

1 電子カルテの導入

2 電子保存の3 条件

3 標準化の重要性

4 電子カルテを取り扱う際の注意事項

◇コラム12 JAHIS による電子カルテの定義

 

13 時限目 診療録記載の実際

1 診療録記載のタイミングとポイント

(1 )診察前の各種情報収集

(2 )診察中の診療記録

(3 )診察終了後の確認作業

2 5 W 1 H による記載

3 カンファレンス記録

◇コラム13 IC( Informed Consent)について

 

14 時限目 クリニカルパス

1 クリニカルパスとは?

2 クリニカルパスのイメージ

3 クリニカルパス導入の効果と課題

4 その他の「クリニカルパス」

◇コラム14 暗黙知と形式知

 

15 時限目 退院時サマリー

1 「退院時サマリー」とは?

2 「要約」を記載する意味・残す意義

3 医師事務作業補助者の役割

◇コラム15 「転帰」について

 

16 時限目 診療情報提供書

1 診療情報提供書と返書

2 地域連携室など

3 電子署名とタイムスタンプ

◇コラム16 2種類の診療情報提供料

 

17 時限目 各種診断書

1 医療文書の種類

2 生命保険会社等の証明書記載において注意すること

3 各種診断書・証明書の特徴

◇コラム17 診断書や証明書等の料金設定

 

18 時限目 医療安全対策

1 「医療安全対策」の歴史的推移

2 誤認防止

3 インシデントとアクシデント

◇コラム18 全職員向けの研修会

 

19 時限目 感染対策

1 医療関連感染と標準予防策

2 感染対策チーム

3 消毒・滅菌

◇コラム19 ハザードマーク

 

20 時限目 医学用語[ 1 ]

1 医学用語について

2 人体解剖図と器官系

◇コラム20 接頭語と接尾語

 

21 時限目 医学用語[ 2 ]

1 診察の場面で出てくる医学用語

2 「説明書」と「同意書」

3 治療法の種

◇コラム21 検査結果の未確認

 

22 時限目 医学用語[3 ]

1 基本的所見

2 内科系疾患の医学用語

(1 )神経内科

( 2 )皮膚科

3 内視鏡検査

◇コラム22 注射用抗がん剤の調製・混合時の被ばく問題

 

23 時限目 医学用語[ 4 ]

1 外科系診療科の特徴

2 周術期管理

3 手術記録

◇コラム23 手術術式( K コード)

 

24 時限目 医学用語[ 5 ]

1 どれだけの病名を覚えれば良いのか?

◇コラム24 レセプト病名

 

25 時限目 医薬品の管理

1 薬剤師の業務

2 医薬品の用法と形状

3 処方箋の記載ルール

4 麻薬・向精神薬等

◇コラム25 劇薬・毒薬の色分け

 

26 時限目 臨床検査

1 臨床検査部門の業務

2 検体検査

(1 )血算検査

(2 )生化学検査

(3 )その他の血液検体検査

(4 )尿・糞便検査

(5 )培養検査

3 病理検査

4 超音波検査

◇コラム26 輸血・血液の管理業務

 

27 時限目 画像診断・放射線治療

1 画像診断部門につい

2 画像診断と画像保存

3 放射線治療

◇コラム27 画像撮影装置の特長

 

28 時限目 医療機器の保管・管理

1 医療機器の保管・管理

2 臨床工学技士の仕事

3 医療ガスについて

◇コラム28 foolproof とfail-safe

 

29 時限目 手術室

1 手術室の内部構造

2 手術の流れ

3 医療安全対策に関して

◇コラム29 手術器具について

 

30 時限目 救急外来・集中治療室

1 救急外来診療

2 集中治療部門

3 「ハリーコール」と救急カート

◇コラム30 人工呼吸器の条件設定

 

31 時限目 リハビリテーション

1 リハビリテーションの意味と種類

2 セラピスト( 療法士)の種類と業務

3 回復期リハビリテーション病棟

◇コラム31 サルコペニア・廃用症候群・HAD

 

32 時限目 栄養管理

1 栄養評価の重要性

2 管理栄養士

3 管理栄養士と「チーム医療」

◇コラム32 接遇について

 

文  献

索  引

さいごに