漢方の世界をイラストにしたら面白いだろうなと思って頻用処方をイラストにした「女性の頻用漢方イラストレイテッド」を出版したのが平成20年でした。その後予想外に多くの方から面白かったとお褒めの言葉を頂きました。そして複数の方から「次は症候別のイラストを書いて」と言われました。私もそうしたいと思ったのですが日常の診療に追われて時間が経ってしまいました。そんな折、一昨年洋學社の吉田氏から漢方に関するイラスト本を出版しませんかとメールを頂きました。ずっとコンピューターグラフィックのレッスンは細々と続けていましたが、再び情熱が湧いてきて寸暇を惜しんでイラストを描きました。
今回は漢方の基本概念(難しい内容を一枚のイラストにするのは無理がありますが)、疾患・症候別によく使用される漢方薬、そして頻用処方の三章にしました。時間の許す限り多くのイラストを描きました。文字による説明部分はできるだけ簡潔に分かりやすくしたいと考えました。私は高校生の頃、物理でも化学でも数冊の参考書の要点だけを書き写しサブノートを作るのが好きでした。今回もその要領で後記の参考文献を参考に、また要所々々を引用させて頂いて分かりやすくしたつもりです。
第三章の頻用処方解説については高山宏世先生の「漢方常用処方解説」、長谷川弥人先生、大塚恭男先生、山田光胤先生、菊谷豊彦先生の「漢方製剤 活用の手引き」、寺澤捷年先生の「症例から学ぶ和漢診療学」、矢數道明先生の「臨床応用漢方処方解説」などから多くを引用させていただきましたが浅学の身、多々間違いもあると思いますので御指摘下さい。
漢方の本は高名な先生の書かれたものが多数あり、私の本などおこがましいのですが、診察中に急いでパラパラと見たりするにはイラスト本のほうが見やすいこともあるようです。多忙な臨床の合間にこの本を手に取ってちょっと息抜き、笑って頂ければ嬉しいです。
最後にずっとコンピューターグラフィックの指導をして頂き、適切なアドバイスを下さった漫画家中垣慶氏、この本を書くように勧めて下さり出版に至るまで面倒をみて下さった洋學社の吉田氏、そこらじゅう散らかしながらコンピューターに噛り付いている私を温かくサポートしてくれた当クリニックのスタッフに感謝の意を表したいと思います。