<序文より>
大学病院でメディカルクラーク( 当時の呼称)の教育に初めて携わったのは2012年のことです。その後、いろいろな縁があり、大学病院を離れた今も、医師事務作業補助者・医療秘書等の実務者およびそれらの職種を目指す学生の皆さんの教育・指導等にかかわれていることを嬉しく思います。
私にとって、この分野での大きなターニングポイントの一つとして、2016年に出版した「医師事務作業補助者のための32 時間教本~くりかえし読んでほしい解説書~」があります。それまでも臨床医としての論文執筆等は少なからずありましたが、医師事務作業補助者という特定の職種向けに、単著での著書を世に出せたことは大きな経験知として今につながっています。幸いにも、初版本に対して多くの読者から好評をいただいたこともあり、その後、診療報酬改定にあわせて2 年ごとに改訂版を出版させていただく機会を得ています。直近では、2024年11 月に第5 版を世に出すことができ、多くの方々に読んでいただけているようで感謝しています。
そのような経緯のもと、32 時間教本の第2 版を2018年に出版した後に、その姉妹本( 解説本)として2019 年に執筆した「重要課題をピックアップ! 医師事務作業補助者のための実務Q&A 80 」の存在( 記載内容)が、ここ最近少し気になっていました。当時は、32 時間教本( 第2 版)で書ききれなかった説明内容の補足や医師事務作業補助者に求められる業務のピットフォールなどを、80 項目のQ&A として上手くまとめあげたつもりでしたが、あらためて読み直してみると、各項目の説明文章がやや冗長的にも思えます。そして何よりも、執筆当時から6 年間が経過し、時代背景の変化や制度変更の問題などもあって、記載内容の見直しが必要であろうと考えていました。
そのような事情もあり、一連の著書の出版を毎回お手伝いいただいている洋學社の吉田氏に改訂版の執筆を相談したところ、快くお受けいただき今回の出版にこぎつけることができました。ちなみに、今回の著書では、Q&A の項目数を80 から100にしたことで、表題名を「Q&A 100 」に変更するとともに、改訂版ではなく新版としての発行にさせてもらいました。また、今回の執筆では、各項目の説明内容をやや簡略化することで、医師事務作業補助者を目指す学生から勤務年数が比較的短い実務者にもわかりやすい解説記載に努めました。正直、著者の執筆意図や工夫等が多くの読者にどのように受け入れられるのか不安もありますが、皆さま方からのご意見・ご感想等をお待ちしております。